決算整理仕訳の全体像

第1章:決算整理とは何か—なぜ必要か

企業は日々の取引を仕訳・記帳していますが、その帳簿残高がそのまま決算書の数字になるわけではありません。決算整理仕訳は、期末(決算日)時点で帳簿残高を正確な財務状態に修正するために行う一連の仕訳です。

決算整理が必要な理由具体例
収益・費用を正しい期間に対応させるため年間保険料を一括払いした場合、翌期分を前払費用として期間配分する
資産・負債の実態を反映させるため売掛金の回収不能リスクを貸倒引当金として計上する
固定資産の使用による価値減少を費用化するため期中に記帳されない減価償却費を期末に一括計上する
期末在庫を正確に把握し売上原価を確定させるため棚卸を実施して期末商品の実際残高を計上し、売上原価を算定する
将来の費用・損失を当期に見積もり計上するため退職給付引当金・賞与引当金を当期の費用として計上する

✅ 決算整理の基本原則:「発生主義」と「費用収益対応の原則」

日本の企業会計は発生主義を採用しており、収益・費用は「現金の受け渡し」ではなく「経済的事実の発生」に基づいて計上します。決算整理は、この発生主義を徹底するための作業です。期末に決算整理を省略すると、売上原価が正しく計算されず、資産・負債の実態が歪んだ決算書が完成してしまいます。

第2章:決算整理仕訳の8つのカテゴリ一覧

① 棚卸資産の評価見出し

期末在庫の実地棚卸を行い、期末商品・製品・原材料を計上して売上原価を確定させる

② 減価償却費の計上

有形・無形固定資産の当期分の減価償却費を計算し、費用として計上する

③ 経過勘定の調整

前払費用・未払費用・前受収益・未収収益の4科目で収益・費用を正しい期間に配分する

④ 貸倒引当金の設定

売掛金・受取手形等の回収不能リスクを見積もり、貸倒引当金を計上する

⑤ 退職給付引当金

従業員の退職給付見込額のうち当期に帰属する金額を費用・負債として計上する

⑥ 棚卸資産の評価損

時価が帳簿価額を下回る在庫・陳腐化した在庫について低価法を適用して評価損を計上する

⑦ 有価証券の評価

売買目的有価証券は時価評価、その他有価証券は時価評価または原価法で期末評価を行う

⑧ 税効果会計

会計上の利益と課税所得のズレ(一時差異)に対して繰延税金資産・負債を計上する

第3章:①棚卸資産の評価——期末商品・製品の計上

棚卸と売上原価の関係

売上原価は「期首在庫 + 当期仕入 − 期末在庫」で計算されます。期末在庫を正確に把握するために実地棚卸(実際に現物を数える作業)を行い、その数量に単価を乗じて期末棚卸高を確定します。

✅ 売上原価の計算式

売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 − 期末棚卸高
期末在庫が多い(少ない)と売上原価が少なく(多く)なり、当期利益に直接影響します。

三分法による棚卸の仕訳

商業簿記の「三分法」では、売上・仕入・繰越商品の3科目で処理します。

仕入高

500,000

 

 

期首商品棚卸高を仕入勘定へ振替

 

 

繰越商品

500,000

期首繰越商品の消込

繰越商品

620,000

 

 

実地棚卸による期末商品棚卸高

 

 

仕入高

620,000

期末商品棚卸高を仕入勘定から振替

→ 上記2仕訳の後、「仕入高」勘定の残高が「当期売上原価」になる。期首500,000+当期仕入X−期末620,000 = 売上原価

棚卸資産の評価方法

評価方法内容特徴
先入先出法(FIFO)先に仕入れた商品から先に売れたと仮定して原価を計算期末在庫が直近仕入単価に近づく。物価上昇時は利益が多く出やすい
移動平均法仕入のたびに平均単価を計算し直し、その平均単価で原価を計算実務でよく使われる。帳簿管理が比較的容易
総平均法期全体の仕入総額÷期全体の仕入数量で平均単価を計算期末にまとめて計算できる。変動が平均化される
個別法個々の商品ごとに実際の取得原価で評価宝石・美術品・不動産など個別性が高い商品に適用

⚠️ 税務上の評価方法の届出

棚卸資産の評価方法は税務署に届出が必要です(届出がない場合は「最終仕入原価法」が法定評価方法)。評価方法を変更する場合も届出が必要です。また、翌期以降も継続適用が原則で、みだりに変更することは認められません。

第4章:②減価償却費の計上——固定資産の費用化

減価償却とは

建物・機械・車両などの固定資産は、購入時に全額費用とせず、使用可能な期間(耐用年数)にわたって費用を分割計上します。これが減価償却です。毎期の費用計上を「減価償却費」、固定資産から差し引く額の累計を「減価償却累計額」といいます。

主な減価償却方法

定額法——毎年同額を償却

✅ 定額法の計算式

年間減価償却費 = 取得原価 × 定額法の償却率(= 1 ÷ 耐用年数)

定率法—残存簿価に一定率を乗じる(初期に多く償却)

✅ 定率法の計算式(200%定率法)

年間減価償却費 = 期首帳簿価額 × 定率法の償却率( = 1 ÷ 耐用年数 × 200%)
ただし、償却保証額(取得原価×保証率)を下回った年度以降は均等償却(改定償却率)に切り替える

計算例——取得原価1,000,000円・耐用年数5年・定額法 vs 定率法

年度定額法(償却率0.200)定率法200%(償却率0.400)
償却費累計償却額期末帳簿価額償却費累計償却額期末帳簿価額
1年目200,000200,000800,000400,000400,000600,000
2年目200,000400,000600,000240,000640,000360,000
3年目200,000600,000400,000144,000784,000216,000
4年目200,000800,000200,00086,400870,400129,600
5年目200,0001,000,0001(備忘)129,599999,9991(備忘)
合計1,000,000999,999

減価償却費の仕訳

減価償却費

200,000

 

 

機械装置 当期分減価償却費(定額法)

 

 

減価償却累計額

200,000

機械装置の累計償却額に加算

→ 間接法の場合、固定資産の帳簿価額は「取得原価 − 減価償却累計額」として貸借対照表に表示される。直接法では固定資産の借方から直接減算する

主な資産種別と法定耐用年数(参考)

資産の種類法定耐用年数の例主な償却方法
建物(鉄骨鉄筋コンクリート造・事務所)50年定額法(建物は定額法のみ)
建物附属設備(空調設備)13年定額法
機械装置(一般的な製造業用)10〜12年定額法または定率法
車両(普通乗用車)6年定額法または定率法
工具・器具・備品(パソコン)4年定額法または定率法
ソフトウェア(自社利用)5年定額法

🔴 減価償却の税務上の重要ポイント

  • 30万円未満の少額減価償却資産(中小企業者等):取得価額を全額即時償却できる(年間合計300万円まで)
  • 10万円未満の資産:全額費用として計上できる(消耗品費等)
  • 10万円以上20万円未満の資産:3年間での均等償却(一括償却資産)も選択可
  • 建物・建物附属設備:税務上は定額法のみ(法人の場合)
  • 機械装置・車両等:法人は定額法または定率法を選択可(届出が必要)

第5章:③経過勘定の調整—前払・未払・前受・未収

経過勘定とは、収益・費用の計上時期を調整するために使う4種類の科目です。代金の支払い・受取のタイミングと、費用・収益の発生時期がズレる取引を正しい期間に配分します。

📤 前払費用(資産)

📤 前払費用(資産)

状況:今期に支払ったが、来期以降の費用分が含まれている
処理:来期以降の費用分を「前払費用」(資産)に振り替える
例:12月に翌年6月までの火災保険料を一括払い→翌期分を前払費用へ

📤 未払費用(負債)

状況:今期に費用は発生しているが、まだ支払っていない
処理:未払の費用を「未払費用」(負債)として計上する
例:12月31日時点で未払いの借入利息を計上する

📥 前受収益(負債)

状況:今期に受け取ったが、来期以降に対応する収益分が含まれている
処理:来期以降の収益分を「前受収益」(負債)に振り替える
例:地代家賃を翌期分まで受け取っている

📥 未収収益(資産)

状況:今期に収益は発生しているが、まだ受け取っていない
処理:未収の収益を「未収収益」(資産)として計上する
例:12月31日時点で入金がない受取利息を計上する

経過勘定の仕訳例

前払費用——保険料の期間配分

前払費用

90,000

 

 

翌期分保険料(120,000×9か月/12か月)

 

 

保険料

90,000

当期費用(10〜12月3か月分)は30,000円のみ残る

→ 当期費用として計上されるのは、10月〜12月の3か月分 120,000 × 3/12 = 30,000円のみ。残り90,000円は翌期分として前払費用(資産)に振り替える

未払費用——借入金利息の未払い計上

支払利息

50,000

 

 

12月末までの未払利息(1,000万×2%×3か月/12か月)

 

 

未払費用

50,000

当期に対応する利息を負債として計上

→ 翌期(3月末の利払時):借方「未払費用50,000・支払利息50,000」/ 貸方「普通預金100,000」で処理する

前受収益——家賃の前受け

受取家賃

100,000

 

 

翌期(1〜3月)分の家賃を前受収益へ振替

 

 

前受収益

100,000

150,000×2か月/3か月分が翌期分)→ 当期分は50,000

未収収益——受取利息の未収計上

未収収益

30,000

 

 

当期帰属の受取利息(500万×1.2%×6か月/12か月)

 

 

受取利息

30,000

未収の利息収益を当期に計上

💡 翌期首の「再振替仕訳」を忘れずに

経過勘定は期末に計上した後、翌期首に「再振替仕訳(逆仕訳)」を行って元の科目に戻すのが基本です。例えば前払費用(借方90,000)は翌期首に「保険料90,000 / 前払費用90,000」と再振替します。会計ソフトによっては自動再振替機能があります。再振替を忘れると翌期の費用・収益が二重計上になります。

第6章:④貸倒引当金の設定——売掛金の回収リスク対応

貸倒引当金とは

売掛金・受取手形・貸付金等の金銭債権は、相手先の倒産等で回収できなくなる(貸倒れ)リスクがあります。貸倒引当金は、期末時点での回収不能見込額を費用(貸倒引当金繰入額)として当期に計上し、その対応する負債(引当金)をB/S上に計上するものです。

貸倒引当金の設定方法(中小企業での実務)

方法内容適用対象
一般債権への繰入
(貸倒実績率法)
過去の貸倒実績率(例:0.5%)を売掛金残高に乗じて算定通常の取引先への売掛金全般
貸倒懸念債権への繰入
(財務内容評価法・キャッシュフロー見積法)
財務状況が悪化している特定の債権について個別に回収不能額を見積もる支払遅延・財務悪化が見られる特定の取引先
破産更生債権等への繰入
(個別評価)
法的整理中・事実上の破綻先の債権は担保等を控除した残額の全額を引当計上破産・民事再生・会社更生申立先

貸倒引当金の仕訳(差額補充法・実務で一般的)

貸倒引当金繰入額

15,000

 

 

期末売掛金3,000万円×0.5%=150,000 − 前期残高135,000 = 15,000(追加繰入額)

 

 

貸倒引当金

15,000

B/S上の貸倒引当金残高を150,000に調整

→ 差額補充法:必要額(150,000)と前期末残高(135,000)の差額15,000のみを当期に繰り入れる。洗替法では一旦全額を戻して再度必要額を計上する

貸倒引当金繰入額

2,000,000

 

 

A社 売掛金5,000,000円の回収懸念——担保2,000,000控除後の3,000,000のうち見積計上

 

 

貸倒引当金

2,000,000

A社に対する個別引当

実際に貸倒れが発生したときの仕訳

貸倒引当金

2,000,000

 

 

引当金の取り崩し

貸倒損失

3,000,000

 

 

引当金超過分を当期損失として計上

 

 

売掛金

5,000,000

A社 売掛金の消込

第7章:⑤退職給付引当金の計上

従業員の退職時に支払う退職金(退職給付)は、全額を退職時に費用計上するのではなく、従業員が在籍している各期に分割して費用・負債を計上します。これが退職給付引当金(中小企業では「退職給与引当金」とも呼ぶ)の目的です。

中小企業での簡便な計算方法

大企業では「退職給付に関する会計基準」に基づく複雑な計算が必要ですが、中小企業では「期末自己都合要支給額(期末時点で全員が自己都合で退職したと仮定した場合の退職金)の計算」という簡便法を用いることが多いです。

退職給付費用
(または退職金)

1,200,000

 

 

当期の退職給付引当金繰入額

 

 

退職給付引当金

1,200,000

期末退職給付引当金残高に加算

→ 実際に退職金を支払ったとき:借方「退職給付引当金 / 退職金(引当金超過分)」/ 貸方「普通預金」で処理する

⚠️ 退職給付引当金の税務上の扱い

会計上は退職給付引当金の繰入を費用計上できますが、税務上は原則として損金不算入です(ただし、中小企業退職金共済・確定拠出年金への掛金は損金算入可)。したがって、会計上の費用と税務上の損金に差異が生じ、法人税の申告書での加算調整が必要です。税効果会計を適用する場合は繰延税金資産の計上対象になります。

第8章:⑥棚卸資産の評価損——低価法の適用

棚卸資産(商品・製品・原材料等)の期末評価において、時価(正味売却可能価額)が帳簿価額(取得原価)を下回っている場合には、時価まで切り下げて評価損を計上しなければなりません(強制低価法)。これは2008年の会計基準改正で、任意の低価法から強制適用に変わりました。

種類評価の基準評価損の必要性
通常の販売目的棚卸資産正味売却可能価額(見込販売価格 − 見込追加製造費用・販売費用)が帳簿価額を下回る場合強制評価損の計上が必要
陳腐化・損傷した棚卸資産品質低下・陳腐化・物理的損傷により、回収可能価額が著しく低下している場合評価損の計上が必要
正常な営業循環内の仕掛品・製品完成原価が見積販売価額から見積販売費用を控除した額を超える場合評価損の計上が必要

棚卸資産評価損
(または商品評価損)

120,000

 

 

帳簿価額500,000 − 正味売却可能価額380,000 = 120,000

 

 

繰越商品(または商品)

120,000

期末在庫を時価(正味売却可能価額)まで切り下げ

→ 売上原価に含めて処理する方法(製造業)と、特別損失に表示する方法(著しい下落の場合)がある。一般的な商業では売上原価に含めることが多い

第9章:⑦有価証券の期末評価

保有する株式・債券等の有価証券は、その保有目的によって期末評価の方法が異なります。

区分保有目的期末評価評価差額の処理
売買目的有価証券短期的な売買差益の獲得時価評価(強制)評価差益・差損はP/Lに計上(当期損益)
満期保有目的の債券満期まで保有する国債・社債等原価法(償却原価法)帳簿価額と額面の差額を毎期調整(利息法または定額法)
子会社株式・関連会社株式支配・重要な影響力の行使原価法(通常は時価評価しない)著しい価値下落(時価が帳簿価額の50%以下)の場合は強制評価損
その他有価証券上記以外の長期保有株式等時価評価(時価のあるもの)評価差額は純資産(その他有価証券評価差額金)に計上。P/Lには通さない

売買目的有価証券

150,000

 

 

時価1,150,000 − 帳簿価額1,000,000 = 評価益150,000

 

 

有価証券評価益

150,000

当期損益(P/Lに計上)

その他有価証券

300,000

 

 

時価2,300,000 − 帳簿価額2,000,000 = 評価差益300,000

 

 

繰延税金負債

90,0000

300,000 × 30%(税効果の計上)

 

 

その他有価証券評価差額金

210,000

純資産(B/S)に計上(P/Lには計上しない)

第10章:⑧税効果会計——繰延税金資産・負債の調整

会計上の利益(税引前利益)と法人税の課税所得は、計算上のルールの違いから一致しません。この差異のうち、将来解消する「一時差異」については、税効果会計によって繰延税金資産または繰延税金負債を計上し、法人税等の期間配分を行います。

差異の種類具体例計上科目将来の影響
将来減算一時差異
(会計>税務の費用認識)
貸倒引当金繰入(税務上損金不算入)、退職給付引当金繰入(税務上損金不算入)繰延税金資産(B/S・資産)将来の課税所得を減らし、法人税を節税できる
将来加算一時差異
(税務>会計の費用認識)
その他有価証券の評価差益(会計上は純資産増加・税務上は非課税)繰延税金負債(B/S・負債)将来の課税所得を増やし、法人税が増える

繰延税金資産

450,000

 

 

1,500,000 × 30%(将来の税節約額を資産として先行計上)

 

 

法人税等調整額

450,000

P/Lの「法人税等調整額」でマイナス(税負担を減らす方向に調整)

→ 繰延税金資産は「回収可能性」が必要。将来の課税所得が見込まれない場合は全額または一部を計上できない。中小企業では重要性が乏しい場合は適用しないことも可

⚠️ 中小企業における税効果会計の適用

税効果会計は、上場企業・大会社では必須ですが、非上場の中小企業では「重要性が乏しい場合は省略可」という実務上の取り扱いがあります。ただし、金額的に重要な一時差異がある場合(大きな貸倒引当金・退職給付引当金等)は中小企業でも適用が望ましく、特に金融機関への開示・融資審査においては適切な処理が信頼性を高めます。

第11章:決算整理の実施手順と注意点

決算整理の実施手順

ステップ作業内容担当・備考
① 試算表の確認決算整理前の試算表を出力し、各勘定科目の残高を確認。明らかな誤りや計上漏れを修正する経理担当者
② 実地棚卸の実施期末日時点の商品・製品・原材料を実際に数えて棚卸表を作成。帳簿残高との差異を確認する経理+倉庫担当者
③ 固定資産台帳の確認固定資産台帳で当期の減価償却費を計算。取得・売却・廃棄した資産の更新を確認する経理担当者
④ 経過勘定の洗い出し前払費用・未払費用・前受収益・未収収益の対象取引を洗い出し、計算する経理担当者
⑤ 引当金の計算貸倒引当金・退職給付引当金等の必要繰入額を計算する経理担当者・顧問税理士
⑥ 有価証券の時価確認期末日時点の有価証券(株式・債券等)の時価を確認し、評価差額を計算する経理担当者
⑦ 決算整理仕訳の入力上記①〜⑥に基づく決算整理仕訳を会計ソフトに入力する経理担当者
⑧ 決算後試算表の確認決算整理後の試算表を出力し、財務諸表のドラフトを作成。顧問税理士と確認する経理担当者・顧問税理士
⑨ 法人税等の計算法人税・地方法人税・住民税・事業税を計算し、未払法人税等として計上する顧問税理士
⑩ 財務諸表の確定貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書等を確定させる顧問税理士

よくある見落としポイント

  • 未払費用の計上漏れ:期末時点で未請求の費用(電気・ガス等のインフラ費用、コンサルタント費用等)が計上されているか確認する
  • 棚卸資産の評価損の未計上:長期在庫・陳腐化商品の評価損は意識的にチェックしないと見落としやすい
  • 消費税の処理:税込経理と税抜経理で決算整理のアプローチが異なる。特に税込経理では消費税の確定申告額を「租税公課」または「雑収入」で調整する処理が必要
  • 法人税等の未払計上:決算整理の最後に法人税・住民税・事業税を計算し「未払法人税等」として負債に計上する
  • 賞与引当金の計上:翌期に支払う賞与のうち当期に対応する金額(例:12月〜翌2月支給の賞与のうち当期帰属分)を引当金として計上する

第12章:まとめ

  • 決算整理とは期末に帳簿残高を実態に合わせて修正する仕訳群。発生主義・費用収益対応の原則の実践
  • ①棚卸資産:実地棚卸→期末商品を繰越商品に計上→売上原価(期首在庫+仕入−期末在庫)を確定
  • ②減価償却費:固定資産台帳に基づき定額法または定率法で計算し「減価償却費/減価償却累計額」で計上
  • ③経過勘定:前払費用・未払費用・前受収益・未収収益の4科目で収益・費用を正しい期間に振り分ける
  • ④貸倒引当金:売掛金等の回収不能見込額を「貸倒引当金繰入額/貸倒引当金」で計上(差額補充法が実務で一般的)
  • ⑤退職給付引当金:中小企業では期末自己都合要支給額で計算し当期帰属分を繰り入れる(税務上は損金不算入に注意)
  • ⑥棚卸資産評価損:時価が帳簿価額を下回る在庫は強制的に低価法を適用して評価損を計上する
  • ⑦有価証券評価:売買目的はP/Lに評価差損益を計上、その他有価証券は純資産(評価差額金)に計上
  • ⑧税効果会計:一時差異に対して繰延税金資産(将来減算)・繰延税金負債(将来加算)を計上。中小企業は重要性が乏しい場合は省略可
  • 経過勘定の翌期首の再振替仕訳・法人税等の未払計上・賞与引当金の計上を忘れずに
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石水 秀治(いしみず しゅうじ)

大手監査法人にて17年間、製造業・建設業を中心とした財務デューデリジェンス、IPO支援、内部統制構築支援に従事。2025年に石水会計事務所を開設。中小企業・起業家に寄り添うアドバイザリー型の支援を提供している。