税制改正 2026
令和8年度税制改正大綱を概要解説
押さえるべき15のポイント
公表日:令和7年12月19日 / 閣議決定:令和7年12月26日 / 対象:2026年(令和8年)分
注意:この記事は令和8年度税制改正大綱(2025年12月26日 閣議決定)をもとにわかりやすくまとめたものです。今後の国会審議で内容が変更される可能性があります。個別の状況への適用については、ご相談ください。
この記事でわかること
- 「年収の壁」引き上げと基礎控除の変更内容
- 暗号資産の分離課税化(20%)のポイント
- 法人向け設備投資促進税制・研究開発税制の新制度
- 防衛特別所得税・国際観光旅客税など新設・改正項目
- 教育資金一括贈与非課税措置の終了など廃止事項
改正の3つの柱
PILLAR 01
物価高への対応
基礎控除・給与所得控除の引き上げで、実質的な税負担を軽減。課税最低限を178万円へ。
PILLAR 02
強い経済の実現
設備投資促進税制の新設・研究開発税制の拡充で企業の成長投資を後押し。
PILLAR 03
税負担の公平化
高所得者への負担適正化、クロスボーダー取引課税の整備、相続不動産評価の見直し。
個人所得課税の改正
物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みが新たに創設されました。合計所得金額2,350万円以下の個人について所得税の基礎控除が4万円引き上げられます。給与所得控除の最低保障額は65万円から69万円に引き上げ。これにより課税最低限が178万円となります。
実務ポイント
給与計算・源泉徴収事務への影響あり。扶養判定ラインも変わるため、年末調整の見直しが必要です。
国民の資産形成に資すると認められる暗号資産について、現物取引・デリバティブ取引・ETFから生じる譲渡所得が分離課税の対象となります。税率は20%(所得税15%・個人住民税5%)。損失は3年間繰越控除が可能になります。
実務ポイント
これまでの総合課税(最高55%)から大幅な税負担軽減。申告分離課税での申告が必要になります。
極めて高い水準の所得に対するミニマム課税(最低負担割合による課税)の適用対象が拡大されます。高所得者の節税スキームへの対応が強化されます。
デジタル化推進の観点から65万円控除の要件に電子申告が追加されます。優良電子帳簿の保存または請求書データ等との自動連携を行う場合は75万円控除に引き上げられます。
- 複式簿記+電子申告+優良な電子帳簿等 65万円→75万円
- 複式簿記+電子申告 55万円→65万円
- 簡易な簿記(※) 10万円→ 0円
(※)前々年の収入が1,000万円を超える場合
実務ポイント
簡易な簿記を採用している場合には、青色申告特別控除が受けられなくなる可能性があることから、複式簿記への移行など検討が必要
資産・相続課税の改正
住宅ローン控除制度が延長されます。省エネ性能要件等の見直しも合わせて実施されます。住宅取得支援の継続が図られます。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税非課税措置が令和8年3月31日をもって終了します。令和8年4月1日以降は新たな信託等の設定が不可となります。
実務ポイント
令和8年3月31日までの拠出完了が必要
相続税における貸付用不動産の評価方法が見直されます。不動産小口化商品を活用した節税スキームへの対応が強化されます。
個人住民税における寄附金税額控除の限度額(ふるさと納税)が見直されます。上限設定により公平性が確保されます。
法人課税の改正
大胆な設備投資を促進するための新税制が創設されます。最大7%の税額控除が受けられる「特定生産性向上設備等投資促進税制」が新設されます。
実務ポイント
省力化・生産性向上投資を検討している法人は、対象設備・要件の詳細確認が必要。
研究開発税制が強化されます。試験研究費の税額控除の対象範囲や控除率が見直され、イノベーション促進が図られます。オープンイノベーション促進税制はM&A型について見直しの上、2年延長されます。
賃上げ促進税制は中小企業向けのみ継続され、大企業向けは廃止されます。中堅企業向けは要件・控除率の見直しを行った上で令和9年3月31日をもって廃止。
中小企業者の少額減価償却資産の特例について、取得価額の基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられます。適用期限は3年延長。
実務ポイント
適用対象:従業員数400人以下の中小企業者等
防衛・その他の改正
防衛力強化の財源として、令和9年1月から所得税に対して1%の付加税(防衛特別所得税)が課されます。同時に復興特別所得税が1%引き下げられるため、当面の実質負担は変わらない設計ですが、復興特別所得税の課税期間が延長されます。
出国時に課される国際観光旅客税が1,000円から3,000円に引き上げられます。インバウンド対応の財源として活用されます。
インボイス発行事業者となる小規模個人事業者に係る税額控除の経過措置(いわゆる「3割特例」)が適用されます。国境を越えた電子商取引に係る消費税の課税も適正化されます。
実務ポイント
- 個人事業主を対象として、小規模事象者向けの措置「2割特例」が「3割特例」へ
- 免税事象者等からの課税仕入れに係る仕入税額控除可能割合が「80%」から「70%」に
- 措置期間が2年延長(令和13年9月30日まで)、段階的に控除可能割合を引き下げ
石水会計事務所 税理士・公認会計士・公認不正検査士
中小企業・個人事業主の経費管理・インボイス対応を数多くサポート。 「難しい税務をわかりやすく」をモットーに、実務に役立つ情報を発信しています。
TEL:055-269-6006/ お問い合わせフォームはこちら →

